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いったい何を頼まれるのかと、ヒースはティーカップを傾けながら苦笑いを浮かべて、
「僕が買えるものなら、なんなりと」
ヒースが諦めた様子で言うと、カトレアはおずおずと申し出た。
「あのね……、気分が明るくなるようなハーブティーなんてものは、あるのかしら?」
ヒースはあまりに拍子抜けしそうな問いを聞き、不思議そうに小首を傾げた。
「ハーブティー……?」
「ええ、ジェンソン……あなたのおじいさまがね、病気をしてからすっかり塞ぎ込んでしまったでしょう? 幸い会社をあなたのお父さんに継いでもらったあとだったけれど、豪快で健康だったことが取り柄の自分が病気になるなんて思ってもみなかったからショックだったのね……このところは落ち着いているけれど、ジェンソンったら部屋から出ようともしないのよ」
カトレアは切実な眼差しをヒースへと向けた。
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