悪魔の果実 (4)

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悪魔の果実 (4)

捜査中だったアルフレッドを掴まえ、最近食中毒のあった場所を調べてもらうと見事にロザリアの発言と一致した村があった。 そこは東部の最果てにある小さな村で、女子供の多い貧しい農村だという。 しかし村には山から脈々と流れる美しい河川があり、山林には恵まれた自然が残っていることから有産階級者(ブルジョワ)たちが避暑がてら狩猟に訪れることで有名な村らしい。 穀物畑を横切るようにかろうじて整備されている道で車を運転しているヒースに、ロザリアが訊ねた。 「それで、その狩猟に訪れた方が食中毒になったと……?」 「アディの話によるとそうらしい。まぁ単なる加熱不足との話もあるが、どうだろうな」 「……お気の毒に」 ロザリアが呟いた瞬間、車がガタンと大きく揺れた。 整備の甘い道には幾つもの穴があいており、タイヤが(えぐ)れた穴に(はま)るたびに不快な振動が何度も押し寄せる。
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