作戦は成功した

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後日、それぞれの委員会で集まりがあり、そこからまた一人一人の役割が決まるのだけど、僕のじゃんけん運は余程ないらしく、一番面倒な貸し出し返却当番へとなった。 1週間に2、3回も放課後閉館まで残って本の貸し出しと返却をしていくという、なんとも暇で無駄な時間を過ごすことになるだろう当番。 別に本が好きで委員になったわけでもない僕にしたら、苦痛の時間だ。 他の人は当番中に本が読めるから、別にいいかというテンションで明らかに僕と温度差があった。 「貸し出し、お願いします」 受付のテーブルに置いてある紙と本の付いている貸し出しカードに、日付と学年・クラス、名前、記入して本と貸し出しカードと生徒カードを提出されると、その貸し出しを行うのが僕の仕事だ。 貸し出しカードを本のタイトルにて分けてあいうえお順に並んであるボックスに入れると、本のバーコードと生徒カードのバーコードを読み取り、いつまでに返さないといけないかを伝えれば貸し出し完了だ。 委員になり、この当番も1ヶ月になると手慣れてきた。 そもそも放課後に図書館へやって来るのは、お決まりのメンバーで、借りていく人も次第に覚えていった。 今やって来た白井華は同じ学年で、別のクラスだけれど、学年でも可愛い方に分類される女子だ。 以前、廊下で数名の男子が固まって女子の可愛い順位をつけていたのを聞いたことがある。 白井華はその順位の上位に入っていた。 眼鏡をかけていて、身長も小さく、清楚な感じでふんわりとした雰囲気を持っている。 眼鏡男子の需要はあると聞いたことがあるけれど、眼鏡女子も意外と人気なんだなぁと、その時思ったものだ。 実際は眼鏡をかけようがかけまいが、素顔が格好良いか可愛いかで分類されるだけだろう。 白井華も見かければ、思わず目で追ってしまうほど結局可愛いのだ。 そんな彼女が図書館に通っていると知ったのは、僕が当番になって1週間目だった。 他の人は1ヶ月かかって覚えてきたのに、やっぱり男というのは現金なやつで、可愛い子の出入りは自然と覚えてしまうのだ。
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