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そもそも『時間内に仕事を終わらせる』前提で仕事を振ってはいるが、イレギュラーが出るのだって『仕事』では当たり前なのである。
「あなたの段取りなんて、私の知ったことではないの。総崩れといったって、最初から何もしていなかったわけではないでしょう?いったん中断して、優先順位が変わったものを終わらせてから、続きをやればいいでしょう?」
「え~~~~」
まともな事をいったはずなのに、返ってきたのは承諾の返事ではなく、不満のため息だった。
その手元を見てみれば、簡単な書類整理のはずが、全くと言っていいほど進んでいない。
「え…って。こっちが『えー!』って言いたいわよ!他の人なら8割方もう終わっているか、早い人ならお昼休憩前に終わる仕事よ?」
「じゃあ、早い人に振ればいいじゃないっスかー」
明らかに小馬鹿にしたような言い方とへらっとした笑い方に、祐美は黙り込む。
怒鳴るよりもそのへ理屈しか詰まっていない頭を殴りたい気持ちをグッと抑え、あとは無視を決め込んでまだグダグダ言っている後藤から離れた。
「ねー、誰か手伝ってよー。ねーってばぁー」
10年以上前なら女性社員同士で融通を利かせ合うように囁かれていたセリフを、後藤は堂々と大声でまくしたてた。
「いや~ん。どぉしたのぉ~?」
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