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慌てて拒否したけれど、祐美のその言葉はとうてい受け入れられない気がした。
それに──そんなにひどい恰好をしていただろうか?
少なくとも、黒が基調の自分の今のスーツ姿よりははるかに───はるかに、どんな服装だった?
何を言われ、何を口にし、何を見たのか。
祐美の記憶の中には、ぼんやりとした輪郭しか残っていない。
苦い薬だと思って──
苦い薬だと思って飲み込んで、その後──
その後、どうすればいいんだっけ?
そこまで何か聞いた気がするのに、何を言われたのだったか、まるで思い出せない。
思い出せないけれど、その答えは、たった今受け取ったショップバックの中にある気がする。
「では…また寄らせてもらいます」
「ええ。お待ちしております。ありがとうございます~」
チリンチリンと賑やかな音で見送りされ、祐美はなぜか心が軽くなった。
また今度──
また───
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