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少し前に修学旅行に行った姪が、祐美のためにと手作り体験で作ってくれたお土産だった。
「可愛らしすぎるかなって思ったんだけど…」
「素敵ですぅ~!スカーフとおそろいなんですね!」
え?
思わず手を伸ばしたスカーフの絵柄と比べてみた。
まったく同じというわけではないけれど、確かに姪の作ってくれたとんぼ玉とスカーフの色遣いというか、雰囲気はとてもよく似ている。
なんて不思議───
「わぁ…ネックレスも素敵ぃ……どうなさったんですか?今日は」
「ん?」
いつもなら襟のあるブラウスやワイシャツをキッチリと締めているせいで露出していない鎖骨部分に、ゴールドチェーンと煌めく星の散らばる濃紺色の石一粒のネックレスを着けている。
「ふふっ…ちょっとね。心機一転……ってところかな」
丁寧にスカーフを畳んでカバンにしまうと、祐美は自分の席に座った。
別のグループになったので、祐美と後藤とはあいさつを交わすぐらいしか接点はなくなった。
なったのだが──
「あら?」
書類どころか所有者すらいなくなった感の席に、祐美はふと目を止める。
「あの…ねえ、後藤君は……?」
「あ、ええ……」
苦笑気味にグループ長となっている主任の男性社員が、その理由を教えてくれた。
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