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 夫妻の家はやや古めかしくはあるが、洒落た感じのする二階建ての建物だった。  この賀来がインターホンを押すと、程なくして落ち着いた感じのする女性、梶村の母親が出てきた。恐らく大学に入ってから印象が多少なりとも変わったせいだろうか。夫人は私たちがよく遊びに来ていた息子の親友の二人だと気づかなかったようで、怪訝そうな顔で私たちが誰かと尋ねた。  私たちが名前を言うと、夫人は驚き、顔を曇らせた。やはり、私たちに会うことは夫人にとって都合が悪いようだった。  しかし、未だに緊張した様子が残ってはいたものの、夫人はすぐに表情を和らげ、私たちをアンティークな印象の受ける応接間へと通してくれた。  夫人によるとここに梶村は住んではいないとのことだった。梶村の父親はどうやら出かけているようだったが、この広い空間に普段たった二人の人間しかいないというのは、想像すると何か物寂しい感じがした。  しばらくして夫人が紅茶を淹れ終わったが、情報を聞き出すことは任せようと思っていたこの火野が何故か一向に口を開こうとしなかった。     
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