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しかし、高校二年になって数か月経った頃、私たち、いや、梶村に異変が起こったのだった。
思えば、この異変が全ての始まりだったのだと、今ならば完全な確信を持って言うことができる。
私と一緒になって火野の寒がりをからかっていた梶村がやけに、というよりは執拗に厚着をするようになったのである。私や火野が何かあったのかと尋ねると、最近寒さに弱くなったようだと軽口をたたいていたが、火野さえも暑がる真夏になっても、それは一向に変わらなかった。
さすがに心配になり、火野と二人で再び問い詰めると、しばらく言い淀んでから、厄介な皮膚病に罹ってしまって、肌が見るに堪えないほど醜くなっているところもあるので見られたくないのだと告げた。それから、あまり自分に直接触れない方がいい、とも。
その説明に一応納得した私と火野は、日に日にひどくなる梶村の厚着を見て心配はしていたものの、極力その話題には触れないよう努めることにした。
その後も私たちはそれまで通りの生活を送ったが、それはわずか半年足らずで終わりを告げることとなった。
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