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私たちは梶村に会えないことを残念に思ったが、代わりに手紙を週に一回は出すことにした。
梶村からの手紙はきっちり週一回のペースで、私たちに気を使ったのか、私と火野に交互に届いた。医師の人柄だの、どの看護婦が美人だのという当たり障りのないことが相変わらずのユーモアを交えて書かれていた。しかし、週一回ということは治療にほとんど進展がないことを意味し、手紙の文章にはそのことに触れないよう気をつけている節があって、私たちの心配はなおさらひどくなっていった。
このやり取りは高校三年の十二月まで続いたが、突然、梶村からの手紙がぱったりと止んだ。私たちは不思議には思ったが、梶村は妙なところで気を使うところがあったので、センター試験が近づいている──私はともかくとして──火野に気を使ったのだろうと思ってさほど気にはしなかった。
やがて受験が終わり、火野は中学の頃から目指していた法学部を止めにして──梶村のことで思うことがあったのだろう──希望した某有名大学の医学部に合格した。私も梶村のために何かしたいという気持ちは当然あったのだが、如何せん勉強が得意ではなかった。そのため、梶村に関して何か行動する時は火野と直接会えた方がいいという、甚だ不純な理由のもと賀来の大学の近くの中で一番レベルの低い大学を選んだ。
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