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邪魔にならないように、ソファのところに座ろう。ここだとこの人の邪魔にならずに、けど、いくら見てても笑われないからさ。
あごだし鍋、ね。そしたら、スーパーに行かないとだ。ぁ、そんでスーパーに行くんだったら――。
「! あっつ、甘っ!」
「っ、アハハハハハ、な、なぁ、クロ」
「……」
え、なんで急に大爆笑?
「お前、ホント、見てて飽きないわ」
え、だから、なんで? 何が?
「っぷくくく」
なんで笑われてんの? 俺。
「はぁ、ホント……」
「……久」
「お前って……」
執筆途中なのか、メガネをしたままの久瀬さんがこっちへ振り返って、手を伸ばす。俺の顎っていうか喉っていうかをくしゅくしゅって、また、手で撫でて、そして、笑った。
ちょうど差し込んできた西日に眩しそうに目を細めて、笑いながら、長い髪をかき上げて、俺はそんなこの人を見ながら、思ったんだ。
なんて、色っぽい人なんだろうって。
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