17 朝、夢のような

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 この人に抱いてもらいたいなんて思ってること。 「夢、じゃない、よね」 「……あ?」 「俺の、願望?」  知られたらいけないことだけれど、でもずっと焦がれてたから、夢に見たのかと思った。 「…………クロ」 「は、はい」 「お前、明日から、こっち側で寝るようにするぞ」 「!」  俺を懐にしまいこんで、そのままベッドを端から端へと、抱えたまま、ぐるりと回転。そして、壁際に押し込められた。 「本物の猫みたいにベッドからこっそり逃げ出せないように」 「ぁ、あの、これ、夢じゃない、よね? ……久瀬、さん?」  そう思ったのはこっちのほうだとぼやいて、この人が笑った。  バイト先にはすでに電話して、休みにしてもらったらしい。そもそも、仕事のピークも過ぎてきたし、一生懸命働いてくれたおかげで、仕事は予想以上にはかどったから、年末の仕事が手薄なくらい、なんだそうだ。だから、むしろ、休んでくれてかまわないと、向こうもホッとしてたって、教えてくれた。 「寝不足すぎだ、バカ」 「!」  大きな手が、俺の頭をわしゃわしゃと掻き混ぜる。 「昨日、イったまんま意識飛ばすから、びっくりしただろうが」 「え! あ、あのっ」 「ったく」 「久瀬さん?」 「中、掻き出したけど、あとで腹、痛くなったらどーすんだ」  中出し、そのままにはしておけないのか。そっか。知らなかった、少し残念。この人の吐き出したの、欲しかったのに。 「次、ちゃんとゴム買っておくから」 「……」 「おい、そこで残念そうな顔するなよ」 「だって、腹壊すのくらい、別に」 「バカ」  そうだ。ゴム、ないんだ。昨日、そこまで思い至らなかったけど、そっか、ゴム、この人は持ってないんだ。それってさ、つまりは――。 「おい、今失礼なこと考えただろ」 「! え?」 「どうせ、ご無沙汰してたよ」  なんで、わかったんだろ。俺、昔はそんなに顔に出るほうじゃなかったはずなんだけど。 「作家を舐めるなよ」
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