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― また夏のみんなで集まろうよ。みずき、ほかの子たち誘ってくれよ。
「やったー、じゃあみんなに……」
いいかけて、あたしは止まった。
「カイ知ってたっけ? エカキ、食べ物にアレルギーがあるんだよね」
― わかった。
実に簡単にカイは請け負った。
― エカキがOKだったら、鴎から家へ連絡させる。鴎は看護師と栄養士の資格持ってるから、アレルゲンの除去メニューを考えさせるよ。食事以外に考慮することも家の人から聞く。だから、みずきはみんなにオファーして参加の意向を聞いてくれないか。スケジュール等詳細はメールで送る。
……金持ちすごい。
まず、あんなは即座にOKだった。
次にエカキに電話をかけて、食事やなんかに対応してもらえることを伝えた。
― 弁当持ってでも、ついていく。
エカキはうれしそうにOKして、うれしそうに聞いた。
― みずき、もうエースには連絡した?
「えっと……」
なんとなく、あたしは避けていた。気がつかないふりをしていた。
でも、カイのいう「夏のみんな」にエースが入ってるのは当たり前だ。
あたしの態度を知っているのか知らないのか、エカキはずっとうれしそうだ。
― じゃあ、ぼくがエースを誘うよ。任せて。
「助かる」
あたしはそういうのが精いっぱいだった。
△
アラームが鳴る前に起きた。
カーテンを開けたけど、外はまだ夜とおんなじだ。遠くでカラスがかあかあ鳴いた。
リビングに出ると、明るいキッチンから智春さんに声をかけられた。
「おはよう」
「おはよ」
その後ろからおかあさんが顔を出す。
「まあ珍しい、雨が降らなきゃいいけど」
「それ、おかあさんが早起きしてるから?」
あたしがいうと、カウンターへ出しかけたお皿を引っこめようとする。
「あっそう。朝ごはん食べたくないのね、あんた」
「なにをおっしゃる美しく勤勉なるおかあさま」
大好きなおかあさん手作りのフレンチトーストをのがすわけにはいかない。
メープルシロップにまみれたふわとろのパンをぱくついていたら、
「お弁当はいらないらしいけど、みんなで食べてね」
智春さんが大きな紙の箱を持ってきた。
「ひゃあ、これ朝焼いたの?」
あたしは驚いた。真っ白なパンがぎっしりだ。小さめサイズで、ひとつひとつが半分ずつカラフルな紙でくるまれてる。
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