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わいわいいって食べながら、すぐ、あたしたちは夏の感じを思い出す。
最初緊張気味だったあんなもエカキも、あの頃みたいにおしゃべりしている。
カイがタブレットで現地の写真をまとめて見せてくれた。
「うわ、なにこれ」
「きゃっ」
あたしもあんなもびっくりした。キャンプというからテントか、せめて小屋的なやつだと思ってた。
「エリアによってテーマが違うんだけど、ぼくらが泊まるのはパオ村だよ」
遊牧民の使う移動用テントに似せて、でもそれよりずっと豪華にしているのだそうだ。
「もちろん、ベッドもあるし、トイレやシャワー設備もある。メインラウンジには温泉の大浴場もあるから」
「なにそれ、キャンプじゃなくない?」
「ぼく、寝袋持ってきちゃった」
「だからグランピングだっつうの。でもアウトドア要素もたくさんある。食事はバーベキューだし。みんなで役割分担して作るんだよ」
「面白そう!」
「裏山でキノコや山菜をとって使おうとも思ってる」
「え、きのこ? 大丈夫かな?」
「げらげら笑いながら一晩中おどりくるったりして」
「大丈夫、鴎は調理師免許と、きのこアドバイザー持ってるし」
「なんじゃそれー」
「鴎さんて、いくつ資格持ってるんですか?」
「うーん……数えたことないですねえ」
おしゃべりの途中で、あたしはちらちら窓際の席を見た。
エースだけは黙りこくって、窓の外を見ている。
エカキもちらちら気にしている。でも、話しかけるようなことはしなかった。
「じゃあ、部屋割りだけど。丘の上の二棟は男子と女子でそれぞれ。小川のそばの一棟に樋口さんと鴎が泊まる。そっちにはキッチンダイニングがあるから、みんなで集まって飯作るんだってさ」
高速道路を下りたら、車は山道に入った。
木々の葉っぱはもう赤や黄色になりかけてる。お日様の光を通して、セロハンみたいにきらきら光る。
片側は川だ。次第に川幅は細く、流れは早くなっていく。ごつごつした岩場を流れる水は青や緑に透き通ってとてもきれい。
早起きしすぎたせいだ。
ちょっとうとうとしてた。あたしが気がつくと車は停まっていた。
「あれ?」
窓からカイやあんなやエカキたちが見えた。山のてっぺんみたいなところで、向こうに遥かな下界の景色が広がっている。絶景ってやつか。
車の中はあたしとエースだけだった。
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