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壁を見ると、骨組みの様子がはっきりわかる。細い木材がマジックハンドみたいに組み合わさって、ぐるりを取り囲んでいる。幾何学模様がきれいで、それだけでおしゃれで特別な感じだ。
本格的なベッドやクローゼットも置いてあるのに、中はとても広い。パオやゲルって、テレビとか写真で見たことがあるけど、それを見てこのくらいだろうなって想像する、三倍は広い。やろうと思えば、中でバスケットボールだってできるだろう。(やらないよ)
あたしとあんなの荷物を隣のパオに運んでくれて、鴎さんはみんなにいった。
「みなさんお疲れさまでした。しばらく休憩にいたしましょう。荷物をといたり、まわりを散策されたり、ご自由にお過ごしください。僕らは燃料や食材などを取ってきます。ご夕食の準備ができるようになりましたらお呼びしますので、ご協力をお願いいたします」
ひぐっちゃんといっしょに車に行きかけて、振り向く。
「ただ、森には入らないでくださいね。迷子になりますから」
あたしたちのパオに入ってから、あんなはきゃあきゃあいいどおしだ。
さっきの男子たちの部屋は茶色や黒っぽい感じだったけど、こっちはピンクやクリーム色が中心で、それでいてけばけばしくないアースカラーだ。タンスやじゅうたんも使い込まれたふうでとても落ち着く。
「センスいいよねえ、ね、これかわいい」
あたしを引っぱって、あんなはあちこち見て回る。かしゃかしゃ写真も撮りまくる。
トイレやシャワーは雰囲気をこわさないところにうまくかくされている。
「まあ、でもこれはキャンプじゃないよな」
あたしが肩をすくめたとき、外が騒がしいのに気がつく。
誰かが叫んでる。
「やめなよっ」
あたしとあんなは顔を見合わせる。
「今の、声……」
「……エカキくん、だよね」
あわててパオを出た。
土と、引きちぎられた草の匂いが強く鼻をつく。
パオの入り口で毛布を引きずって、エカキは立ちすくむ。
その目の前で、ふたりが取っ組み合っている。
カイとエースはお互いの服や腕をひっつかみ、ごろごろ草地を転がる。
あたしは飛び出して、
「やめろっ」
ふたりの体をつかんで離そうとした。けど、勢いに巻き込まれて、
「うわああ」
世界がぐるぐるして、目の前が一瞬白くなる。
「ぎゃあ」
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