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あんなが近くに大きな箱を見つけた。ふたを開けると中は棚になっていて、食器や鍋、カトラリーやランプなどがきちんと収納されている。
「テーブルセットならできるよ」
あんながいって、ランチョンマットをテーブルに置き始めた。
「いい雰囲気じゃん」
ほうろうのカップやお皿をそれぞれ配置しながら、あんなはあたしに命令する。
「みずき、おやつの残り持ってきてよ」
「ラジャ―」
「カイは飲み物余ってない?」
「うん、あるはず」
あたしとカイが走りだそうとするのを、エカキが腕で止めた。
「ほら来た」
ポットやお菓子の包みを腕いっぱいにかかえて、エースがとことこ丘を下って来る。
一番端っこどうしだけど、エースもカイもちゃんと座って、お茶会が始まった。
紅茶はカップに半分ずつ、それもだいぶぬるいけど、おやつはまだたくさんある。
「すてきねえ」
あんなは夢見心地だ。テーブルにひじをついて、風になびくタープの向こうに目をやる。
日はほんのりオレンジ色がかり、だいぶ傾いた。森の木々からちらほら落ち葉が舞い落ちる。
「光がどんどん変化して、追いつかない」
エカキはさっきから自前のタブレットでスケッチしている。
カイとエースはぶすっと黙って自分のカップを見つめる。
「ほうふぁ!」
あたしはお菓子をほおばったまま、ぴょこんと立ち上がった。
「ひャッひボールひようよ! 暗ふなっはらでひねえっつうの。あはしボールとグラブとバッふぉ持っへきふぁー」
叫びながら自分のパオへ一直線に走った。
車が帰って来た時には、ミニゲームがたけなわだった。
「ようし、この魔球を受けてみよ!」
あたしは叫んで、実はストレートの剛速球を投げこむ。
「がはっ」
変な声を上げて、カイはやっとこ当てたけど完全に振り遅れ、高い高いフライになった。
「オーライ」
キャッチャー役のエースがあたしを手で制して、落下地点に立つ。
「ちぇ」
カイは悔しそうだったけど、フェアだからバットを投げ捨てて走る。
「あ、足もと気をつけて!」
叫んだのは鴎さんだ。
エースはぎょっと下を見たけど間に合わなかった。ちょうど大きな岩があって、それを避けようとしてずるんとすべった。
「「「「ああああ!」」」」
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