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見てたみんなが叫ぶ中、エースはごろんごろんと丘を転がり落ちて行く。そっちはさっき、あたしたちが転がったコースじゃないか。
「エース!」
あたしとカイが走って追いつくと、エースは小川にはまってはいなかった。
「なにこれ? 新ジャンルのゲーム?」
薪を背負ったひぐっちゃんが、がっちり、エースを足でふんづけていた。
△
これで全部が丸く収まった、とあたしは思った。
晩ごはんの準備はすてきだった。
あたりが薄暗くなってきたので、あちこちに点々とランプが置かれた。ランプの揺れるオレンジっぽい光に照らされると、それだけで景色はセンスがよく、食材はおいしそうに、人の姿はカッコよく見える。
鴎さんが炭火をおこす。長四角のグリルを三つに分けて、炭の量を調節して、強火・中火・弱火ゾーンを作る。へえ、なるほど。
まずはバーベキューだ。
たまに河原でやる、飯ごう炊さんとか焼きそば作るのとはちょっと違う。
大きなホタテ貝やソーセージ、そして、
「「「「おおー」」」」
歓声とともに、特大の牛肉が登場。
「今日はシュラスコスタイルでやってみましょうか」
って鴎さんはいって、巨大なたかたまりを串に刺してあぶり始めた。
「鴎さん、手際がいいねえ、さすが調理師」
「一応、キャンプ・インストラクターも持っておりますので」
あたしたちもお手伝いを任命された。
「できるだけ細かくお願いしますね」
玉ねぎやにんじん、ピーマン、セロリをそれぞれ細かく刻む。
「肉にぴったりのおいしいソースになるから、がんばってください」
玉ねぎに泣かされてるカイを励ました鴎さんだけど、
「あ、ばか、ビリヤニがダメになる!」
ひぐっちゃんを怒鳴った。
焚き火台にかけられたダッチオーブンのふたをとろうとしたのだ。ビリヤニって、インドの炊き込みご飯なんだって。
鴎さんは大きなため息をついて、ひぐっちゃんを見限る。
「おまえは邪魔しないのがお手伝いだ、酒飲んでていいから、いすから立つな」
「やりい」
さっそくワインの栓を開けて、マグカップにどぶどぶ注ぐ。
「……なんか、すみません」
ニンジンを刻む手を止めてあたしが謝ったら、みんなに大笑いされた。
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