1話 廊下にて 

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1話 廊下にて 

【17年後 セスタリック王国 フォーク騎士学校】 「連れてけ!」 荷物をまとめ、トラベルゲートへ向かう途中。 ヴォルク・スゥベルは親友の言葉の意図を理解できなかった。 「......ジュン、どういうことだ?」 「全く、ヴォルク君は察しが悪いねぇ」 ジュンと呼ばれた長髪の男はやれやれと額に手を当てる。 「しょうがない。鳥頭のヴォルク君に分かるように説明してあげよう」 「誰がだ」 「休みが終わったら卒業でその後は中々会えなくなるだろ?」 「......まぁ、今よりは」 「働き始めると疎遠になると聞くぜ。お前も親父さんの領土継ぐんだろ?」 「そうだな」 「よって連れてけ」 「だからどうしてだ」 「分からんかねぇ。少しでも長い時間を過ごすことで男と男の友情を深めようってことだよ!」 「なるほど、断る」 「流石!それでこそ俺様の......断る?」 呆然とした後、慌て始めた。 断られると微塵も思っていなかったように。 「え、なんでぇ!?ホワイ!?」 「スゥベルは観光地じゃない。来たところで何もないぞ」 ヴォルクはジュンの方に向き直る。「それにお前、本当は別の理由があるだろ」 「な、なんのことかな?」 「今自白すれば連れていく」     
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