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2話 旅立ち
【フォーク騎士学校 トラベルゲート前】
「お、来たね」
「遅いわよ!ヴォルク!」
「フォーク先生!?」
「リンちゃんもいるじゃん~!今日もツンデレしてるのかな?」
「リンちゃん言うな!あたしはリンカ!てかツンデレってなによ!」
巨大な門の前には初老の男性と黒髪を後ろで1本に束ねた少女が立っていた。
「やはり若い子と話すのは良いものだね」
フォークはにこやかに笑う。「こちらまで若くなったみたいだ」
「わ、私で良ければいつでも!」
リンカは頬を赤く染めながらはにかんだ。
気の強さと腕っぷしは折り紙付きのリンカも憧れのフォークの前だと借りてきた猫のようにおとなしい。
普段見れないリンカの様子が可笑しく、ヴォルクは頬が緩むのを感じた。
「フォーク先生!」
2人は胸に手を当てて敬意を示した後、学園の長と対面する。
「教え子達といられる時間もあとわずかだからね。教え子達の顔を見に来たんだ」
フォークの目がヴォルクを正面に捉える。
その目は先ほどのような穏やかなものではない。
弟子を見極めんとする師の目である。
「卒業式の後学長室まできたまえ。最終試験を行う」
「......分かりました」
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