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番の浮気
広いリビングのソファで、ぽつんとたった一人ぼっち、青年は大きな溜息を吐いた。
青年の名前は鶴居みき。二十五歳の男性オメガだ。
光の加減で青みがかっても見える黒髪と、漆黒の瞳。女性的で整った顔は憂いを帯び、艶のある魅力を醸し出す。
みきは今、一つの大きな悩みを抱えている。
それはみきの番である鶴居ひろの浮気だ。
みきとひろが出会ったのは小学生の頃。みきがオメガであることを理由にクラスメイトに虐められていた所を、ひろが助けた時から二人は友達になった。
この時には既にみきはひろに恋をしていて、ひろもこの時にみきに恋をしたのだ。
そして月日は巡って、ひろより誕生日が遅かったみきが、丁度十八になった日に二人は結婚し、番になった。
ひろはみきにとって理想のアルファであり、旦那であり、将来生まれるであろう子供にとっては良き父になるはずの人だった。
新婚当初はそれはそれはバカップルと言われるほど仲睦まじい二人であったけど、ここ二年ほど、つまりみきとひろが二十三歳になったあたりから、雲行きが怪しくなった。
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