あれ?

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 そう応えて、お返しにひろの唇にキスをしたのは間違いなくみき自身で……。  何なんだろう?この記憶は?  睡魔と息苦しさで朦朧とした脳が、苦しみを忘れさせる為に作り出した幻想の一つなんだろうか?  いや違う。だってこれは……  重たくなった瞼の、閉じようとする力に逆らって目を見開く。  みきは自分が今、どんなに愚かしいことをしているのかを鮮明に思い知った。  早くこの水の中から出なければと藻掻こうにも、睡魔の性で指がピクピクと痙攣するように動くだけで、足も腕も最早自分の意志では動かせない。  もう一度、ひろ君に会いたい。  ただそれだけが頭を支配していく。  でも、もうどうにもならなかった。  掠れていく視界の端で投げ捨てたスマホの画面が明るく光る。  しぶとく海に漂っていたそれは、そういえば防水だったななんてボンヤリと思って、画面に表示された名前にみきは優しく微笑んだ。  これが幻覚だとしても、愛しい人と繋がって死ねるならまあ良いかな。  そう思って、みきの意識は黒く塗り潰された。
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