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でもひろは、みきと家族になりたいだけで、みきとの子どもでなくては全く欲しいとは思わない。
それにその検査の結果は、子どもが絶対に出来ないとは書いていない。まだ子どもを授かる可能性は残されている。
だから「子どもは居なくてもみきが居てくれさえすれば僕は幸せだ」「それに不妊治療をすれば子どもも授かれるかもしれない」「みきの夢を絶対に叶えよう」そう言い聞かせて、みきも納得してくれたとひろは思っていた。
そんな騒動が起きた翌日。
ひろは仕事帰りにケーキと花束を買って帰ることにした。
検査結果に落ち込んでいるみきに少しでも笑顔になって欲しかったから。
夫が妻の機嫌を取るのに定番であろうその組み合わせにもっと気の利いたものを用意するべきだったかとちょっと悩んだものの、ケーキも花も、みきは大好きだからと気を取り直して、家の扉を開けた。
ただいまと声を掛ける前に、忙しない足音がひろの耳に届く。
駆けてきたのは当然の如くみきだったけど、その可愛らしい相貌を怒りに歪ませていた。
目を丸くして、状況を理解出来ないひろに、みきは物凄い剣幕で怒鳴りつけた。
それを一通り要約すると、みきはひろが浮気をしていると怒っていたようだった。
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