1106人が本棚に入れています
本棚に追加
二十三歳のある日からか、ひろはあれ程好んでいたみきとのスキンシップを避けるようになったのだ。
みきは当初、『倦怠期かな?』とのほほんと構えていたものの、それは収まるどころかどんどん酷くなり、スキンシップに加え夜の営みもパタリと無くなり、会話すらもなくなっていった。
みきとてそんな状況を甘んじていた訳では無い。みきなりに色々手を尽くしはしたのだ。
でもその溝は埋まることなく、ひろはとうとう家にすら帰らなくなっていった。
これは浮気じゃないかとみきが気付いたのは二十五歳になったつい最近で、遅すぎると言われればぐうの音も出ない。
でもみきはひろがそんなことをするはずがないと心の底から信じていたのだ。
ひろが家に寄りつかなくなって、私物もいつの間にか激減していた。というか要らないと判断された物だけ残されているようだった。
その要らない物の一つにみきも入っているかもしれない。
みきはそんな事を思って今日も大きな溜息をつく。
ひろの浮気に気付いてからこれは最早ルーティーンのようになっていて、みきの体に染みこんでしまった。
いっそのこと手酷く捨てられた方がマシだとみきは思う。
番契約を破棄して、お前には飽きたというだけでみきは今よりもずっと楽になれる。
けどひろは優しい人だ。
最初のコメントを投稿しよう!