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会ってすぐ何処で致したかはしないが、発情した二人は番ったらしい。
でも姉の番の男には妻子があった。それなのに十三歳の姉と番ってしまったことで、自責の念に駆られたのだ。
そして姉はそんな番と共に車の中で練炭心中をした。
それなりに可愛がってくれた姉の、突然の死に泣く五歳のみきに両親は語った。
子供には親を選ぶ権利はないし、生まれないことを選ぶ権利はない。
だから代わりに死ぬ権利がある。
人生で一番幸せな時、その幸せが萎む前に死んでも良い。
人生で一番不幸だと思ったときに、これ以上苦しまないために死んでも良い。
何気ない日にふと思いつきで死んだって良い。
つまり自分が死にたい時に死ぬが一番正しいと、そう言った。
そして姉は愛する番と死ねて幸せだっただろうとも。
みきの目に焼き付いた姉の死に顔は確かにとても穏やかで、幸せそうで。
だからみきはこの言葉を魂に刻んだ。
先に親からのこの言葉を聞かされていた兄たちも姉の死を境に、それを受け入れたようだった。
次に死んだのは高校生になった長兄だった。
アルファの長兄はその日、ずっと片思いをしていたオメガの女子に屋上で告白をした。
でもオメガの女子には将来を誓った少年がいて、断られることは分かりきっていた。
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