過去のお話

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 それでも玉砕覚悟で告白した長兄は、返事も聞かず告白してすぐに駆け出して、屋上から地面にダイブした。  勿論、転落死したことは言うまでもないだろう。  アルファの次兄はみきが中学生の頃に突然、部屋で首を吊るから見ていてくれと言った。  みきは兄の最期の望みならと、麻縄一本で宙ぶらりんになった兄を体育座りで眺めていた。  後に、他殺の可能性があると調査した警察は、兄がズボンの中で射精していたと報告してきた。  兄は死に瀕して快楽を感じる究極のマゾヒストだったのか、それともみきに見られていたから快感だったのか……。みきには定かではない。  とにかく、みきは決して兄の自殺現場に立ち会ったことは誰にも言わないと決めた。もちろん番であるひろにでさえも。  こうして、みきは三人もいた兄弟を中学生までに全員失った。  でも悲しかったのは最初の姉だけで、兄たちの死をみきは当然のこととして受け入れた。  寧ろ、自分で理想の死に方をしていった兄弟をみきは誇りに思う。  そして自分もいつか理想の死に方で幕引きを量るのだと疑いもなく信じていた。  大好きなひろと番って、可愛い子供を儲けて、子供が巣立って孫でも出来たら幸せの中で、姉とその番のように心中したい。     
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