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あれ?
決意を固めたみきは早速、行動を開始した。
まずは自分の荷物の整理から始める。
死んだ後にひろに片付けさせる訳にもいかないと思ったからだ。
みきは段ボールやゴミ袋に、燃えるゴミと燃えないゴミでがさつに仕分けていった。
どうせ自分の遺品なんて誰も見向きもしないだろうから、形見分けなんてする必要もない。
だから全て適当にポイッと放り込んでいく。
冷蔵庫の中の食材から始まって、ひろとの結婚式の写真まで全て一緒くたにして。
みきは粗方私物をゴミの山に変えたところで、食器はどうしようかと悩んだ。
ひろとペアのカップや夫婦茶碗。他にも色々と思い出の詰まった食器達。
ひろが浮気相手と使うなら残しておいた方が良いだろうし、売ればほんの小遣い程度には金になるだろう。
みきはうーんと暫く唸った後で、割れ物は全部砕いてしまうことにした。
片付け終わって、みきは多分人生最後のいい汗を掻いたと達成感を味わった。
リビングの一角に集めたゴミの山にはひろと出会ってからの思い出が眠っている。
そう考えて、みきは悲しくなってしまった。
折角死ぬこと以外考えないようにしていたのに……。
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