私が間違ってたの?

2/2
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「待っててくれないか?」 そう言って、旅立っていった彼。私はその時、ドキドキし過ぎて顔を上げることが出来なかった。そして彼は行ってしまった。それって将来のプロポーズ? それから5年。中堅と呼ばれる年齢が近づいてきた。 久しぶりの同期会が開催される。彼も日本に帰って来たらしい。 メールもラインも最初の1年くらいで途絶えてる。わかってる。もう終わっていることくらい。でも彼の他に付き合ってみたけど、その度に彼の一言が私の気持ちを思いとどまらせてきた。 待つって何を? 多分、私の中の何かが止まってしまっている。彼を待つために。意味のない待機期間。 懐かしい面々。見た目も人によっては様代わり。 お前は誰だと言いたくなる同期もちらほら。 遅れて現れた彼。 まだドキドキするんだな、自分に呆れちゃう。 近況報告タイム。 彼は国際結婚、将来モデルも出来そうな可愛い女の子の写真、パパになったんだ。 1次会が終わって、帰路。私、何しに来たんだかな。 駅に向かう途中、彼から声がかかる。 「仕事、頑張ってるんだって」 「まあね」何それ、どうせ他にやることありませんからねと心の中でつぶやいてみる。 「お前にふられて、勢いで結婚してさ」 「???私がふったの????」私のリアクションの薄さと熱のないメールのやりとりのせいだと彼は言う。 私は自分の気持ちを素直に言葉にできなかっただけなのに、行かないでとも一緒に連れてってとも言えなかっただけなのに。 「やっぱり勢いだけだと破綻も早いというかさ」 えっ、何?今度は離婚の話?子供の写真うれしそうに見せてたじゃん。 「仕切り直しで帰国しちゃいました」 何なの、なにのんきなこと言っちゃってくれちゃってるの?人の気持ちも知らないで。 「ずっと待ってたのに」 今度こそ、ちゃんと伝えなきゃ。また待ち続けるなんて嫌だ。私は待つのが嫌いです。 「私、今度海外赴任を打診されてて」今日、会社からあった異動の話。 「今度は私を待っててくれる?」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!