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――彼女がそんな宣言を出したってことは…その勝負、マルイタカヤは受けたってこと。ふふ、やるじゃないか。
少し興味を持って調べた。マルイタカヤ――二ヶ月前に登録したばかりの超新人のWeb作家である。流星のごとく現れ、まさかの投稿第一作で愛良を倒し、短編コンテストの大賞をかっさらっていった人物だ。
しかし、その後の短編コンテストは二連敗。大賞どころか、一切の入選にかすっていない。
――どうやら、それまではずっと二次創作ばっかりしていたのか。タツマキナイン…ああ、あの熱血野球バカのキャプテンが、新設校を優勝に導くっていう…確かアニメもゲームも漫画もあったんだっけ。女の子人気の方が高いジャンルって聞いたことあったけど…。
さに支部、というマルイタカヤが二次創作を投稿している場所とアカウントはすぐに見つかった。大型掲示板でそちらもばっちり晒されてしまっていたのもあるし、そもそも同じ名義である。タツマキナインについてはアニメを流し見しただけだったため詳しくはないが――確か二次創作ガイドラインが出ていれば自由に創作できるジャンルだったはずだ。
ざっくりとマルイタカヤの二次創作に目を通していた遼は、目を見開く。
――この長編…246話まで続いてる……!しかも毎日殆ど絶やさず更新してるのか。毎日一話、約五千文字ずつ…!!
閲覧数はさほどない。ブックマークもだ。これでは人気ランキングに乗ったことなどないだろう。
そもそも、彼の投稿しているCPは相当マイナーらしく、マルイタカヤ以外に投稿しているユーザーが数えるほどしかいない。そもそも、大多数が夢小説がBLだ。このジャンルは男女CPを投稿する人間が圧倒的に少ないらしい。
さらに。恋愛や青春、ファンタジーパロで周りが投稿していく中――一人黙々とミステリーを連載し続けている。明らかに流行に乗れていない。空気を読めているかといえばそれも読めてはいないだろう。でも。
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