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――人気が出ない作品を毎日…何年も連載し続けてきたのか、彼は…!
久し振りに、ぞくぞくしてきた。液晶の前、遼は一人笑みを浮かべる。
一度だけとはいえ五ツ星を打ち倒し、あの星野愛良と信者たちの猛攻撃を受けても倒れない。彼女の勝負を真正面から受けて立ち、そして二次創作とはいえ人気の有無を全く気にせず毎日根気よく小説を投稿し続けることのできる見上げた根性――。
――ふふ、久し振りに…スターライツに革命を起こしてくれる、面白いやつが現れたかな?
水城遼――またの名を、スターライツの五ツ星が一角、“賢帝”銀時計。
気紛れに投稿してはコンテストを掻き回していくミステリーの王者は、楽しげにキーボードを叩いた。
***
「まあ、勝負になっちまったもんはしょうがない!」
どん!と気合いを入れるように優はテーブルを叩いた。
「ここで負けたらスターライツやめろってあの女に言われちまってるんだろ?なら負けるわけにはいかねーよな、つか俺がムカついてしょうごねえ!つーことで順平、まずは反省会から行ってみようか!」
「は、反省会?」
「そうだよ!あの後の短編コンテスト連敗してんだろーが!何で落ちたかちゃんと考えたのかよ?」
相変わらず容赦ない親友に、うう、と落ち込む順平である。入賞どころか、優秀作品にもかすらなかった二回のコンテスト――あまりにも残念で、考えないようにしていたのだが。
「まず、短編コンテスト“夏”!大賞を取ったのは星野愛良。これは正直、星野愛良の圧勝だったと俺は思った。準大賞以下とは明らかに出来が違っていたからな」
短編コンテスト“愛”の次は“夏”がテーマだった。存外これが難しかったのである。“夏”と言われて想像するものは?と簡単に考えただけで候補が多すぎたのだ。
星野愛良の大賞作品『夏の幻』は実によく出来た作品だった。
夏休みに田舎に里帰りした少女が初恋に落ち、その恋の相手の少年が幽霊だったと後で知ることになるという悲しい恋物語なのだが。――とにかく、少女の恋心の描き方、夏祭りの描写の繊細さが圧巻の一言に尽きるのである。文句なしの大賞だったと言って過言ではないだろう。
そして、マルイタカヤ――順平の作品はといえば。
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