20人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
『泣きたい時だって 時にはあるけれど』
『私たちの想い それが明日の ち・か・ら~!』
『キャッチ! キャッチ! ラブリーキャッチ!』
ブツンッ。
軽快に流れていた音楽が途切れる。同時に私の足も急ブレーキを踏んだ。
フクパラの目の前に、ガタイの良い一人の男が立っていた。
捲った派手な柄のシャツから覗く、大きな蛇の刺青。
瞬間、私の頭の中に警報が鳴り響いた。
一般人なら間違いなく『関わってはならないタイプ』の人種であることを察知する。
男はしばらくフクパラを見上げていたが、こちらの視線に気付いて振り返る。
ワックスで固めたオールバックに、耳には沢山のピアスが付いている。
ぎょろりとした瞳でガンを付けられ、恐怖のあまり思わず肩が跳ねた。
最初のコメントを投稿しよう!