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「血の繋がりが無くても絆があれば失ったものは取り戻せる・・・・・・か」
私の話を噛み砕くように、結君が呟く。
「その主人公のように、先代と葉さんを繋ぐ『強い絆』があれば、状況が変わって来るんじゃないか」
「『強い絆』、ねえ・・・・・・」
腕を組んではやても考え込む。
「先代は確かに葉さんに店を譲るって言ったんでしょ? でもそれは口で話すだけの言伝だったから意味が無いって葉さんは話してたよね」
彼の問いかけに、結君が答える。
「そしたら目に見える絆を探せば良いんじゃないか。先代が葉さんに店を譲ることが明確に記された『何か』を」
「それって」
私とはやては思わず顔を見合わせる。
「遺言書ってこと?」
壁の時計が時間を告げる。授業の時間だ。私は慌てて椅子から立ち上がった。
「私、大学の先生にも聞いてみる。この後の授業、法学部のクラスだし」
「ああ。頼む」
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