7話「マスターからの手紙」

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◇  今日の全ての授業を終えて店へ戻ると、閉店した店で四人が夕飯の用意をしているところだった。  キッチンからハルさんの作るカレーの良い匂いが漂う。  私は椅子に座って伝票を作成していた葉さんに、先生から聞いて来たことを洗いざらい話した。 「遺言書?」  私の言葉に、葉さんは困ったように眉をハの字に下げる。 「そんなものはもらってないよ」 「あるはずなんです。先代の方はきっと葉さんに遺しているはずです。遺言書が見つかれば、フクパラを守ることができるかもしれない」  慌てて答えれば、葉さんはぐるりと店内を見回す。 「とは言え、フクパラをオープンさせるに当たって一通り掃除はしたからなあ。マスターの遺品整理も俺がしたし・・・・・・」  残念ながら思い当たる節は無いようで、彼は首を傾げたままだ。  彼の様子に、じわじわと私の心の中に黒い靄のような不安が広がって行く。
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