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「良い、匂い・・・・・・シャンプー・・・・・・」
されるがままになっていた葉さんが、小さく呟く。そして、はっと瞳を大きく見開いた。
「エロ本の隠し場所!」
「・・・・・・は?」
葉さんの口からはとてもじゃないが発されるとは思えない言葉に耳を疑う。
「葉。テメェ、誰のせいでこうなってるか自覚しろよ」
呆然とする私に同情してくれたのか、流石のハルさんもおたまを持ったまま牙を剥く。
「違う!」
葉さんは大きな声を張り上げた。そして、椅子を蹴って立ち上がる。
「病院から一時帰宅の許可が下りた日のことだ。店のカウンターで一緒に酒飲んだ夜に、マスターが鍵をくれたんだ。『この引き出しには鍵がかかってる。ここには自分のとっておきのエロ本が仕舞ってあるから開けちゃいけない』って。一緒に酒を飲んだのは、あれが最後だった」
葉さんは店の出口まで走って行き、レジが置いてある棚の一番下の引き出しを指さす。
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