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「初めまして。深瀬優太(ふかせゆうた)です」
ふんわりとした笑顔に、清潔感のある白いシャツ。一目で好青年と分かる出で立ちだ。
少女漫画にいたら間違い無く爽やか系のクラスの人気者にランク付けされるだろう、と私は勝手に妄想する。
「優太は池袋駅前にあるケーキ屋の息子なんだよ。ほら、東口出て信号渡ったところにある」
「もしかして駅前の大きなお店?」
「うん。葉さんがそこのケーキが大好物で、このお店にも卸してもらってるんだ」
「そうだったんだ」
『ケーキ屋ふかせ』。老舗のケーキ屋さんとして、古くから愛されているお店だ。私もフクパラへ行く時は必ず店の前を通るが、いつも沢山のお客さんで賑わっている様子を目にする。
優太君はお店の一人息子。都立高校に通う二年生で、放課後はもっぱら実家の手伝いをしているのだそう。フクパラでは歳の近い結君やはやてと仲が良いみたいだ。
既にケーキの搬入は終わったみたいで、カウンターの上に置かれたガラスケースにはかわいらしいケーキが幾つも並んでいる。
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