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◇
「お待たせ。ごめんね」
会計を済ませて本屋から出ると、外の手すりに寄り掛かって、はやてが待ってくれていた。
「あれ? 結は?」
中央公園から途中まで一緒に帰っていたはずの結君の姿が見えない。
「結は親に怒られるから先に帰るって」
はやての返事に慌ててスマートフォンの画面を見れば、既に21時を過ぎている。
制服を着た高校生がこんな時間の繁華街をふらふらしているのはいただけないだろう。
(帰り道で補導されませんように)
私は心の中で結君の無事を祈った。
「新刊買えた?」
二人で並んでサンライズ通りを歩き出す。
「うん。あと一冊だけ残ってた」
最近ハマっている漫画の新刊の発売日が今日だったため、パフォーマンス練習の帰り道に二人に待ってもらって買って来たのだ。
明日は大学も休みだから、今晩さっそく夜更かしをして読もうと思う。
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