4話「OWLNIGHT(オウルナイト)、結成」

7/13
前へ
/127ページ
次へ
「あ・・・・・・」  咄嗟に持っていた漫画を背中に隠す。 「みやびも帰り?」  狼狽する私の様子には気付かず、女の子はフレンドリーに話しかけて来る。 「うん。ちょっと、バイト帰り」  曖昧に誤魔化すと、髪を明るい色に染めた彼女は、ぱっと顔を輝かせた。 「みやび、バイトしてたんだ! どこでしてるの?」 「えっと・・・・・・サンライズシティの近くにある、小さなカフェだよ」 「へー! 今度遊びに行って良い!?」 「う、うん。またね」  私の返事は、「絵里ー、二次会行こうぜー」と彼女の肩に馴れ馴れしく腕を回す男の声によってかき消された。  彼等から漂う酒の香りが鼻をつく。 「行く~! じゃあみやび、また大学で」  再びグループの会話に戻って行く彼女に、私は引きつったような作り笑いで手を振った。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加