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「はあ、はあっ」
ありったけの急ぎ足で、駅までの道を行く。
心の中で恥ずかしさと息苦しさがないまぜになって、気持ち悪い形の蜷局を巻いた。
「みやびちゃん、待って」
足早に通りを歩いて行く私の後ろを、はやてが追いかける声が聞こえた。
「みやびちゃん!」
鋭い声が聞こえたかと思うと、ぎゅっと右手を掴まれる。その強い衝撃で私はようやく足を止めた。
「・・・・・・ごめん、はやて」
肩で息をしながら震える声を絞り出す。
彼の方を振り向く勇気は無かった。
(見られちゃった。はやてに)
先刻の出来事を思い出して、奥歯をぎゅっと噛み締める。
(私の、一番汚い部分・・・・・・)
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