4話「OWLNIGHT(オウルナイト)、結成」

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「小児病棟にもいたんだ。『がんばれ! ゴーゴーマン』っていうアニメが大好きだった子が。知ってる? 『がんばれ! ゴーゴーマン』」 「もしかして『歴代最高のクソアニメ』って話題になってその年の流行語にもなったやつ・・・・・・?」  リアルタイムで観てこそいなかったものの、タイトルは私も聞き覚えが合った。  ゴーゴーマンが始まる前に放映していたアニメが大ヒットを納めたものだっただけに、視聴者の期待を裏切るお粗末なストーリーだと当初から話題になった。途中から制作環境の悪さをアニメーターが内部告発してストライキにまで発展、結局制作会社が倒産して最終回目前で打ち切りになるという悲惨な結末を迎えた作品だ。  うろ覚えで記憶を辿る私に、はやては「そう」と苦笑する。 「でもその子は毎週大喜びで観てたんだよ。例え多くの人に評価してもらえなくても、クソアニメだと罵られても、誰か一人の心に深く残る。そんなアニメに携われたら、声優として幸せなことだと思う」  行こう、と促されて私達二人は再び駅までの道を歩き出す。 「みやびちゃんはさ、本当の姿を自分にちゃんと見せてくれたじゃん」 「それは、はやての趣味とかが私に似てるなって思ったからだよ。はやてになら、話しても良いかなって思えた、から」  語尾が小さくなる私の背中を後押しするかのように、「そう。それで良いんだと思う」とはやては頷く。 「自分は、ラブキャが好きなみやびちゃんと出会って、ここまで仲良くなれたんだよ。間違ってなんか無い。誰かがそれを間違いだと言っても、ありのままのみやびちゃんを受け入れてくれる人は必ずいる。自分達、フクパラのメンバーがそうだったように」
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