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「あ?! 緊張する?!」
サンライズシティのバックヤード内にある待機スペースで最終調整をする中、はやてがごしごしと両手をこすった。
「落ち着いて、はやて」
彼の緊張をなだめるために声を掛けるが、私の胸も朝からドキドキと緊張しっぱなしだ。
「ハル、リボンが結び目が崩れてるよ」
ハルさんのエプロンの結び目がほどけていることに気付いた葉さんが、手際よく整ったリボンの形に結び直す。
「おう、悪いな」
お客さんから一目でカフェ店員だと分かってもらえるよう、ステージ衣装はいつも通りのフクパラの制服で行くことにした。
その代わり今日はパフォーマンス用として、エプロンに一人一人のイメージカラーに合わせた大きなロゼットを付けている。リボンのひだに囲まれた真ん中のボタンの部分には、それぞれのイニシャルをきらきらのラインストーンで施してある。
皆が公園やスタジオを借りてダンスの練習をしている横でなけなしの裁縫スキルを駆使して作った、我ながらにして大作だ。裁縫が得意な優太君に作り方を教えてもらいながら、何とか当日までに完成させることができた。
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