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「みやびがもう知ってる通り、俺はコンテンポラリーダンスの選手だった。けれど去年、優勝が掛かっている大会の直前で怪我をした」
結君の言葉に、はやてと見た動画を思い出す。
「それって、全日本選手権のこと?」
「そう。俺は辞退を提案したが、周りは許してくれなかった。賞金やダンススクールの評判、色んなものが関わっていたから。結局鎮痛剤を打って出場したけど、自分は何のために踊っているのかが分からなくなった。だから大会を終えた後、自らダンスから身を引いた」
『周囲に見込まれ過ぎた天才、豊島結』
動画に付いたコメントに、そうあった。
高校二年生で全国大会で上位を取れるほどの逸材となると、周囲の期待も想像以上のものだったのだろう。
それは恐らく、彼をプレッシャーで押しつぶしてしまうほどに。
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