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「葉!」
激昂したハルさんが葉さんの両肩を掴む。
「テメェ本気で言ってんのか」
私も思わず「冗談ですよね」と声を震わせた。
短い間だったけど、折角ここまで来ることができたのに。
『フクパラを大きな店にしたい』
初めて店に来た時の、葉さんの期待に満ちた瞳が脳裏に蘇る。
「俺だって、こんな選択は下したくない。だけど」
小さく息を止め、彼は続ける。
「敵では無いとは言え、?に関わりのあった人物が絡んでる。この先スタッフにも何か危険が及ぶかもしれない」
「大丈夫ですってば」
「俺が大丈夫じゃないんだ!」
安心させようと発した言葉は、葉さんの叫びによって遮られた。
ナイフの如く鋭利に突き刺さる彼の声に、店内がしんと静まり返る。
「もう、俺の過失で仲間を傷つけることだけは御免だよ」
そう言うと、彼は寂しそうに笑った。
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