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◇
「・・・・・・はやて」
声を掛けたが、はやてはぼんやりと虚空を見つめたままだ。
「はやて! こぼれてる!」
思わず肩をばしばしと叩くと、我に返ったはやては慌ててやかんの火を消した。
「ご、ごめん」
「もう、危ないよ」
やかんから吹き出した熱湯で危うく火傷をするところだった。
はやてが紅茶を淹れている間に、私はコンロに零れた熱湯を拭く。
すると、今度はホールで「ガシャン!」と大きな音がした。
慌てて戻れば、結君が「失礼しました」とお客さんに謝りながらしゃがみ込んでいる。
床には彼の落としたカトラリーが散らばっていた。
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