6話「督促状」

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 スーツの男は暫しの沈黙の後、「それはそうと」と、私の方へ顔を向けた。 「この店はいつから出来たんだ?」  彼の質問に、私は答える。 「元々は古い喫茶店だったんですが、今の店名になったのは今年に入ってからです。オーナーが変わったので」  私の話に彼は相槌を打つ。どうやらこの店に興味があるようだ。 「と言うことは君はアルバイトとしてオーナーに雇われているということか」 「いえ、私はアルバイトじゃなくてこのお店の『アドバイザー』に任命されていまして」 「アドバイザー?」  男の真向いでハーブティーを飲んでいた部下の男性がきょとんとする。 「元々私はお客さんとしてここに連れて来られたんですけど。フクパラを盛り上げて東池袋で有名なお店にするために、オーナーに指名されたんです。カフェのお手伝いの他に、インターネットで宣伝したり参加できるイベントは無いか探したり、出来ることは色々やってます」 「へえ」  興味深そうに頷くと、彼は私を見上げて尋ねた。
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