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「その『アドバイザー』の仕事は、楽しい?」
「はい」
「楽しそうなのに、何故そんなに悲しそうなんだ?」
「えっ」
瞬間、嵌められた、と思った。
初対面の彼は、早くから私の胸中を見抜いていたのだった。
「君は、とても悲しそうだよ」
私から視線を外さないまま、彼は言う。
店員を相手に変な人だと思ったが、我慢していた感情を堪えることができなかった。
「・・・・・・っ」
気付けば目からぼろぼろと涙をこぼしていた。
「ご、ごめんなさい」
客を前にとんだ失態だ。恥ずかしさで私は慌ててブラウスの袖で涙を拭った。
「実はこのお店、閉めるかもしれないんです」
理由を話さない訳には行かない。
仕方なく打ち明ければ、背後で雪ちゃんと氷君が「えっ」と驚いた声を上げた。
「フクパラ、おわっちゃうの!? どうして!?」
二人が悲痛な声を上げて私の足元にすがり付く。
私につられて泣きそうな表情の彼等を前に、今はただ「ごめんね」と謝るしかなかった。
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