8話「幸せの白い梟」

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「葉さんの、梟だったんですね」  大きな木々にぐるりと周りを囲まれた公園内の広場に、葉さんが一人で立っていた。  大きな翼を広げ、白い梟は頭上に掲げられた葉さんの左手に止まる。  私の声に振り返った彼の周りを、春風に吹かれて梟の白い羽がふわりと舞った。 「そう。この子の名前はミュオソティス――略して『ミュー君』」  そう言って、葉さんはにっこりと笑う。 「ミュオソティスはマスターが好きだった花でね。彼の喫茶店の名前でもあったんだ」 「素敵な名前ですね」  少なくともフクロウ★イケメンパラダイスカフェよりはずっと、と喉まで出かけた言葉を必死に呑み込む。  そんな私の様子には気付かず、「みやびちゃんもそう思うでしょ」と、葉さんは嬉しそうに言った。
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