ショートショートストーリー

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飛べない鳥のように 君はただ空を見上げていた 夢を見失いかけていた君に 僕はありきたの言葉しかかけられなかったけれど… 雪が融け、日差しが優しくなった頃 君は僕の不器用な愛を受け入れた 移り行く季節とともに 二人の愛は、さまざまに彩られ アルバムのペ-ジが増えていく 二人で出かけた遊園地 触れ合う手と手の温もりは どこまでも続く幸せへの道 夕陽を受けて走る列車の中で そっと渡した誕生日プレゼント 夢の鼓動が聞こえてくる 小さな誤解 意地をはる二人 言葉に翻弄され 答えを見つけられない日々 小さな公園のベンチで 少し距離を置いて座る君と僕 まっすぐ前を見つめたまま 君は別れを切り出した 手のひらの上に乗せたはずの幸せは 水滴のように零れ落ちた 見飽きた風景に風穴を開け 限りある命を、精一杯燃やした恋だったけど 君が求めていた空と僕の求めていた空は きっと、どこかが違っていた 飛べない鳥のように 僕はただ空を見上げてみる
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