第7章 願い事は

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半笑いながらも嘘を続ける梅田くん。岩陰の人たちも声を殺しながらも笑っている。 薄ら笑うその口から吐き出される言葉に、寒気がよぎる。 梅田くんが謝るはずなかったのに。分かっていたのに。 来てしまった自分に恥ずかしさを覚えた。唇を噛み締めて、早くこの時間が終われと耐えていると……。 後ろから勢いよく誰かが飛び出してくる。 それは見覚えのある後ろ姿で。 その人は、梅田くんの制服の襟を鷲掴みにした。 「ふっ……ざけるなっ……! 清野さんがどんな思いでここに来たと思ってんだよ! お前が謝るって言うから、会いたくないのに、勇気振り絞って来たんだ!! 自分が傷付けてたって分かってるんだろ!? 知ってたのに、過去のこと理由にして呼び出して、くだらないことに清野さんを巻き込むな!」 「あず、さくん……?」 恐る恐る名前を呼ぶと、やっぱり梓くんだった。 いつも感情を表に出さないポーカーフェイス。 その梓くんが、思いっきり大きな声で怒鳴って、怒りの感情を剥き出しにしている。 驚いて身を竦めているとこちらに振り向き、今度は私に近付いてきた。 そしてグイッと腕を引っ張られ、空き地から連れ出される。 空き地を出ると同時に梅田くんに視線を向けると、呆気に取られている顔をしていて、岩陰から数人顔を出してこちらを見ていた。 一昨日も腕を引かれたのに、その時とはまったく違う。 力強く握られた腕が痛かった。 そして、一昨日と同じ場所に連れてこられる。いつもの公園だった。  
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