0人が本棚に入れています
本棚に追加
-玄関のシール-
家を出る時、違和感があった。
アパートの入り口。ドアの脇、給湯器が入っている扉に小さなシールが貼られていた。
目立たないように貼られているが、独特なデザインだ。力士のような顔と、上を指す指が組み合わされている。
どことなく不気味に思った私は、シールを剥がし、隣の住人の玄関の脇に貼り直した。
朝から気味の悪い、と思いながら仕事に出掛ける。
不気味な経験が悪かったのか、その日は出社したものの、どうも調子が悪く昼前に早退した。
一度帰ってから病院に行こう、と帰宅したところ、見覚えのない人物が玄関の並ぶ廊下にいるのに気づいた。
男2人組が、隣の部屋の電気メーターを眺めている。
電気メーターをちらりと見たところ、中の円盤が回っていた。隣の住人は部屋にいるようだ。
私が恐怖を覚えながら自分の部屋に入った時、1人がぼそりと言った。
「この時間はいないはずなんだけどな。」
この頃近所で空き巣の被害が増えているらしいと、その後聞いた。
◆
シールを貼り替えた家にやってきた、怪しい男……
近所で増えている空き巣……
あなたには
真実が
見えましたか?
(真実は次の章で)
最初のコメントを投稿しよう!