枠と境界線

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 5分くらいして、特に何も言わずに、そいつは現れた。普通に、適当な上着(袖があまりまくり)で、膝が曲げにくいって言ってたのにジーンズ姿だ。(たぶん、その辺にあったとか、目についたって、感じだろう) 「帰っていい?」 そして来て早々のセリフが、これだった。 「ひゃー、ほつれてますよう! 穴が開いてますよう! 私、ソーイングセットあるんですけど」 彼女も彼女で、なんか服装に反応している。近所のおばちゃんみたいな対応だな、なんか。 「あたまいたい……」 まつりが憂鬱そうに嘆いている。なんだか、カオスの一歩手前くらいだった。
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