枠と境界線

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枠と境界線

 ――なんか知らないけど、厄介なことになってしまった。  只今、クラスメイトの、梅ちゃん(って呼ばれていた)に、捕まって、帰宅中だ。 彼女は気さくで可愛らしいのだが、ぼくは目立たない上に、口が上手くない方だし、普段は人とあまり話したりしないので、なんというか、どうしていいかわからない。 町を歩いていて、そこで彼女が一目惚れしたとかいう、ぼくと歩いていた知り合い(おっかないやつ)のことを聞かれ、適当に逃げていたのだが(おっかないから)、お願い助けて、と言われて、教室で、クラスの注目まで集めてしまうと、さすがに不利だったのだ。
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