古本屋

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朝、おれは起き上がる。なんとも言えない気分だ。刺されたはずの胴体部分に手をあてがう。 五体満足だ。 その五体満足である自分に恐怖しかない。恐ろしい何かに変貌してしまったのではないか、そう考える。 おれが、殺されてしまったのは夢だったのか。 確かに痛みはあった。今でも何故生きているのかわからない。 あの本は、そう思い部屋を探す。前は一緒にベッドの上に置いてあったはずが、ない。 では、机の上か、ない。 家を全て探し回ったが、ない。 言い表すことの出来ない不安と恐怖。 あの本はいったいなんだったのか
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